まえおき
このシリーズでは、以下の4冊の読書感想を載せています。
- はじめて部下ができたときに読む本 (ブログ)
- 自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書 (ブログ) ←いまここ
- コーチングの技術 上司と部下の人間学 (講談社現代新書) (ブログ)
- ザ・コーチ (ブログ)
自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書
- 作者: 篠原信
- 出版社/メーカー: 文響社
- 発売日: 2016/11/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
こちらのまとめサイトが元になったそうです。 togetter.com
全体的な感想
子供と社会人を同じように見るのは失礼に当たるかもしれませんが、やっぱり似ていると思いました。相互に活かせる教訓が多く、子供がいる自分には合っていました。
ためになる話が多く、70個以上ものハイライト(付箋)をつけました。
ハイライトの要約と感想
リーダー像について
- リーダーのタイプ
- . 「この人についていったら得をしそう」というリーダー
- 率いる集団には勢いがあり、急速に大きくなる
- リーダーばかりが目立つ
- 部下に見限られやすい
- 「この人と一緒なら楽しそう」というリーダー
- ユニークな才能を示す人が集まる
- 少々の苦難があっても、みんなで楽しみながら乗り越える
- . 「この人についていったら得をしそう」というリーダー
私は後者を目指したいと思います。
子育てでもよく出てくるキーワード、「承認欲求」!
- リーダーは部下より優れている必要はない
- むしろ部下が自分を超えるように指導すべき
目から鱗です。東大生でも家庭教師が下手な人がいることや、三流大学生でも生徒を東大に合格させられる人がいるように、自分の実力と指導力は比例するわけではないのかもしれません。
指示の仕方
- 部下が自分の想定を違うことをした場合は自分の指示不足なので謝罪し、今後の希望を伝える
- 本人に考えてもらう材料を必ず一つは残す
指示後は後ろから観察するなどのプレッシャーを与えない
「指示待ち人間」とは
- 自分の頭で考えられないのではない
- 自分の頭で考えて行動してもダメ出しばかり食らった結果、指示待ちすることに決めただけ
上司の仕事とは
- 「部下に働いてもらうこと」である
- 「上司の仕事を部下にやってもらうこと」ではない
上司と部下のギャップ
- 教えた側は自分が教えたことを覚えているが、教わった側は覚えていないことが多い
- 前者は能動的、後者は受動的だから
- 話は簡潔に。要点を。長々話しても後輩は最初の話を覚えていない。
肝に銘じておきましょう。お金を貸す人と借りる人の関係みたいですね。笑
- A社に関する情報を得た場合、上司は「A社」という言葉を過去の記憶と結びつけて話の内容を覚えられる。一方部下は「A社」という見知らぬ会社と内容を覚えるのは難しい。
- 会社のピンチは部下にはモチベーションにならない
- 経営者や上司は逃げ道がないから、危機感が頑張る理由になる
- 雇われて日が浅い部下は「だったらここから逃げ出したほうが賢明だな」と回避行動を取りかねない
- ピンチのときは「助け」を求めよう
- 「今、業績が悪いんだ」と伝えるのではなく、「これから○か月はうちの部署はすごく忙しくなるから、大変悪いけど、君をじっくり育ててあげることが難しい。すまないが私の指示通り、頼まれたことをこなしていってもらえるだろうか。ここを乗りきったら、君に落ち着いて仕事を教えられるようになるから、それまでは協力してください。」
モチベーション
- 下げる要因を除去するのが優先
- 上げようとするのは次点
- 成長の段階に合わせて「できない」を提供し、「できる」ようにさせる
- 子育てでは当たり前にしていることだが、部下にも行う必要がある
- 上司が先回りして細かく指示を出すと「やらされ感」が強くなる
- 単純に見える作業でも、工夫の余地はたくさんあり、それは喜びにつながる
- 無理して部下が好きそうな仕事を探す必要はない
- 部下のやる気を削ぐ言動の典型的なものは、「あなたのことが信じられません」というメッセージ
- その人の「外部」で起きたことではなく、「内部」に起きたことをほめる
- 結果ではなく過程をほめる
- 自分の子供ならともかく、大の大人相手にやるとなると心理的なハードルがあるが、慣れ次第だ
- 外部要因のほめ方
- 「こんな営業数字を出すなんて、前代未聞だねえ」
- 内部要因のほめ方
- 「今月はずいぶんと好成績だったけど、どんな工夫をしたの?」
- 信じることでモチベーションを削がない
- 「私はあなたのことを信じている」とは:
- ×「私はあなたが私の期待した通りに行動すると思っている」
- ×「信じる」=「期待する」は重荷に感じる
- ○「身を預ける、部下に仕事を一任」
- ○「どういう結果になっても、その結果は甘んじて受けとめる」
- プレッシャーに強い人
- 「信じる」=「期待する」でよい。
- 給与UPがモチベーションになる。
- 大半のプレッシャーに強くない人
- 「信じる」=「結果は受け入れるからやってみよう」が適切。
- 生活に安心できる程度の給与は必要。それ以上は重荷。
- 「私はあなたのことを信じている」とは:
- 労働意欲は「できない」が「できる」に変わっていく喜びが刺激されたときに高まる。
- ちょっと挑戦したくなるセリフを軽く言うと、「ダメもとで狙おうかな?」と思ってもらえるかも
- 「このレベルの成約を年に3件取るのは至難の業なんだよね」
- 「この仕事を100件こなしたのはまだいないんだよね」
- 部下が話しかけに来たときは、そちらに集中すること
- 片手間で相手をすると自分はそれだけの存在いなのだと認識してしまう
新人特有の話
- 毎日の頻度が高く、業務量が多く、しかし単純な作業がよい
- 仕事を早く覚えられるし、その実感も湧きやすい
- 「一人の人間を雇うには一千万円の売り上げが必要になる」が、新人には無理なので売り上げで評価できない。
- 新人の評価ポイント
- 1年目:仕事を熱心に憶えようとしてきたか。
- 2年目:仕事が少しずつできるようになってきたか。
- 3年目:指示がなくても自分で仕事ができるようになってきたか。
部下の失敗
- 数年後の話のネタにでもするつもりで余裕を持って受け止める
- 過去の自分と比較しない(記憶が正しいとも限らない)
- 将来のオリンピック選手かもしれない赤ん坊に「まだ歩けないのか」となじるようなもの
- もし部下が締切を守れないと申し出た時は、部下に授けるべき技能や知識をあらかじめ授けていなかった自分が原因だと考え、何の技能・知識が不足していたのかを部下と一緒に考えて突き止めておく
- 次回は、未習得だった技能を習得するところから始める
- 失敗だと思わなくてよい
- ただの「やろうとしてみたけどできなかった」という体験であり、成長するうえでの課題
- 着実に成長しますように、と祈りはするが、早く成長しろよ、とは期待しない
- 祈りと期待はよく似ているが、期待が外れるとイライラしたりするのが違う
- 叱るという場面は、ある意味、「あなたはこんなものではないはずだ」というメッセージを伝える絶好の機会だと考えるようにするといい
レッテル
- 「あいつは生まれつきの怠け者なんだ。だから仕方ない」と考えると相手も自分に対してそういう態度を取るようになる
- 「あの人は怠け癖があるが、これまでの環境がそうさせたのだろう。この癖を外すには、どうすればよいだろう」と考えるようにする
成果報酬
- 仕事を頑張ってほしいなら、仕事自体を面白おかしいものにすることが一番
- 子どもが「ゲーム買って! 勉強するから!」とねだって買ってもらった後、全然勉強しないのと同じ
競争意欲
- 「あいつを見習え」という発言はうまくいかない。言われた方は「どうせ私は」とふてくされ、槍玉にあげられた方はいい気になりすぎたりする。
- 栄光の舞台以外では競争意欲はうまくはたらかない
- 栄光の舞台(オリンピックなど)
- 個人間の競争意欲を高めるのも有効。
- それ以外(並の企業)
- 個人間の競争はむしろモチベーションを下げることが多い。
- 競争する前に辞めてしまう。
- 栄光の舞台(オリンピックなど)
最後に気に入った箇所の引用を載せておきます。
創意工夫ができない人とは、世界のどこかに「正解」なるものがあって、それを自分は知らない、知り得ないのだと諦めてしまっている人のことだ。しかし世の中のことは、正解がないことがほとんどだ。なのに「自分ではない他の誰かが、正解を知っている。だけど自分は正解を知り得ない」と諦めてしまう。これは残念なことだ。こうした人は、仮説を立てることをやめてしまっている。だから未知のものとの接し方が分からなくなってしま
・
日本では、女性が結婚し、子どもができると仕事から離れ、子育てが一段落して仕事に復帰しようとしても、パートくらいしか仕事がないことが多い。だが、子育てで奮闘した経験は、上司として部下をどう導くかということと直結している。日本は、人材の活用の仕方を相当誤っている社会かもしれない。 男性からそう言ってもらえると励みになりますね。
今後の教訓
- 参考にしたい点が多すぎるので、何度か読み直すこと