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プログラマー兼主婦の雑記

築40年の戸建てに家族4人で住んでいます。

マーク・ピーターセンの英語本がよかった

読書 語学

偶然知ったマーク・ピーターセンの著作を前年からぼちぼちと3冊読み、とても良かったのでおすすめします。

  1. 日本人の英語 (岩波新書)
  2. 続・日本人の英語 (岩波新書)
  3. 心にとどく英語 (岩波新書)

英語ネイティブなのに日本語で本を書いているのに驚きます。

『日本人の英語』より

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の可算/不可算の決め方

朝食べたものを日本人が説明する場合、

I ate… (ホットドッグだから、hot dogだな。これは数えられるから) a hot dog !

のように、名詞を考えてからそれに「a(n)」をつけるかどうか考える傾向にある。

一方、ネイティブは、

I ate a…a…a (一個食べたあれは何だったかな、そうだ、) hot dog !
I ate…uh…uh… (あのかたまりは何だったっけ、思い出した、) meat !

のように、先に可算か不可算かのイメージを持つとのこと。

所有格によって限定される数

the friend of mine
my friend

これらを初出で使うと、自分には友達が一人しかいないことになる。いきなり「my friend」で紹介した場合,それは「my one and only friend」という意味になる。

電子レンジについて話題にするとき、

she put it in her microwave

だと、電子レンジは一台しかないことになる。

she put it in one of her microwaves
she put it in a microwave

だと、複数所有しているうちの一台の電子レンジの話になる。

ただし、電子レンジではなく冷蔵庫を一台しか持っていない場合、

she put it in her feeezer to cool it off

は、アメリカ英語としては不自然になってしまう。

she put it in the feeezer to cool it off

の方が普通。

なぜなら「the freezer」には、「(どの家庭も持っているあの)the freezer」というイメージがあるため。「her microwave」は「(どの家庭も持っているわけではないが)her(彼女の持っている唯一の)microwave」という意味になる。

これって1988年当時の話ですね。なんか変だと思いました。今はどちらも普及しているので、「her」ではなく「the」または「a/one of」でいいのでしょう。

「her」と「the」の使い分けを意識して英文を読むと、書いた人の前提となる意識が見えて面白いですね。たとえば「my mobile phone」と言うのか「the mobile phone」と言うのかによって、「話者は携帯電話がどれだけ普及していると考えているのか(一人一台だと思っているのかどうか)」について分かっちゃいます。

数にはシビアにならないと、いろいろな誤解が生じるかもしれないという例。

the coach of my tennis club

テニスクラブにはコーチが一人しかいない

a coach of my tennis club

テニスクラブにはコーチが複数いる

the ex-wife of my brother

弟に元妻は一人しかいない

an ex-wife of my brother

弟は少なくとも二回は離婚している(元妻が2人以上いる)

これを踏まえて次の文を読むと、

In April, I introduced the coach of my tennis club to a ex-wife of my brother, and by June the two were already married.
( 4月に ,私のテニス ・クラブのコ ーチを ,弟の離婚した妻に紹介したが , 6月になったら ,二人はもう結婚していた . )

コーチは一人で元妻は複数いたということになる。

through の使い道

throughは文脈で和訳できますが、自分で英訳しようと思ったらなかなか使いこなせていません。

  • 直接的作用力(agency)
  • 媒介(intermediacy)
  • 理由(reason)
  • 動機(motive)
  • など

媒介

Much of Mother Theresas work is done(by her)through the United Nations.
(マザーテレサの仕事の多くは,国連を通じて(彼女によって)成し遂げられた.)

理由

He was arrested(by the police)through a misunderstanding.
(彼は誤解から(警察に)逮捕された.)

動機

Kawabatas best writing was achieved(by him)through a desire to capture the essence of classical beauty.
(川端の最高傑作は古典美の精髄を究めんとする熱望から(彼によって)完成された.)

手段につける前置詞の使い分け

written on a typewriter

文章を書く人 → 加工プロセス(typewriter) → 成果物

written with a pen

文章を書く人 → ただの道具(pen) → 成果物

The speech was first delivered in English through an interpreter over the companys closed-circuit television system and was later broadcast by NHK on all its radio stations under the title Expressing Yourself Better with a Variety of Prepositions.
(そのスピーチは,最初は会社の社内用TV回線システム,通訳を介して英語流されたが,後に,「多様な前置詞より豊かに自己表現を」というタイトルNHKからラジオ全国放送された.)

乗り物につける前置詞は、運転との意識の差を表す

電車は立てるからon train、車は包まれちゃうからin car、と覚えていましたが、もっと理解が深まりました。

on + 乗り物

airplane, ship, busなど。乗る人は一人の乗客にすぎず、乗物の運転に特に何の影響も及ぼさない。ただ「運ばれている」感じが強い。

in + 乗り物

car, taxi, private aircraftなど。単に「運ばれる」のではない。乗物の運転と自分との間につながりがいくらか感じられる。

outとoffの違い

Clean out your desk !
(机の中をかたづけてきれいにしなさい.)

Clean off your desk !
(机の上をかたづけてきれいにしなさい.)

Clean your desk !
(机を洗って汚れを落としなさい)

She took out her raincoat.
(彼女は(洋服ダンスか何かから)レインコートを取り出した.)

She took off her raincoat.
(彼女はレインコートを脱いだ.)

He is out of it today.
(今日,彼はどうかしている.)

He is off of it today.
(今日,彼は調子が出ない.)

家に誘う場合の言い方

come to my house

言い方が堅い。

come over (to my house)

リラックスした,インフォーマルでフレンドリーな印象を与える.やや「一直線に」寄ってもらう感じ。

come around

こちらもリラックス。come overよりも「回ってくる」ような,「ついでによる」ような気持が入っているので,わずかに謙虚。

大学名の訳し方には間違いが多い

the University of Japan

日本という国の大学

Nihon University

日本という名前の大学

所有の「's」「of」の使い分け

これを題材にした卒業論文の話をどこかで読んだことがあり、結論は「どちらも大差ない」でした。私は「そんなことない、使い分けはある」と思っていたので、以下の例を読んで幾分スッキリしました。

Ueno Zoo’s pandas

もっとも所有感が強い。他の動物園の責任で飼育されるパンダに対して,これは上野動物園が責任をもって飼育しているものであることを強調している。

Ueno Zoo pandas

最も性質を表現する感じが強い。他の動物園のパンダと違って,このパンダは上野動物園に飼育されているという特徴をもつものであることをいくらか強調している。

the pandas of Ueno Zoo

上記二つの中間

5種類のof

1.成り立ち

a staff of 3 men and 4 women (男性3人と女性4人の職場)

上のように「成り立ち」が構成要素の場合は名詞並びにしないが、「成り立ち」が素材なら名詞並びにできる(例外あり)。

boots of Spanish leather → Spanish leather boots

前者は文学的で、後者は簡潔。

2.位置

north of the city (その町の北方に) 

3.同格

the continent of Asia (アジアという大陸)

「Y(固有名詞)と呼ばれるX(普通名詞)」という意味をもち、英語らしい英語。

4 .包含関係

one of his many lovers (彼の多勢の恋人の一人 )

5.性質

a girl of extraordinary charm (おどろくほど魅力的な少女)

簡単にするために並び替えても意味は大して変わらない。

an extraordinarily charming girl

「時」を気にする英語、「相」(aspect)を気にする日本語

My sister studied English.
My sister has studied English.

後者の妹の方が英語が上手にできる。

My sister had … before …

やり終わった時点に注目している。

My sister had been …ing when …

やり終わった時点をいきいきと表現している。

A : I havent seen you around lately.
(最近お会いしていない. ) around という言葉は,「普通の生活の中で」という意味を与えている
B : Ive been sick.
(病気だったのだ.)

病気自体はとっくに治っているかもしれないが 、病気のせいで今の生活がいくらか影響されている(たとえば人に「この頃 会ってないな 」と言われたり、仕事が遅れている)ような場合は、必ず現在完了形を使う

A : I didnt see you at all last year.
B : I was sick.

去年のことなのでただ病気だったと言うだけ。

ピーターセン氏の英文添削

終わりの方は論文についての書き方が多く紹介されていました。

The lyricsof that song were written on a word processor, whose appeal mainly depends on clever rhyming and puns

遠い関係代名詞を直す。

◯ A word processor was used to write that song’s lyrics, whose appeal would seem to lie mainly in their clever rhyming and puns 一語の形で先行詞になっている単語は主節に存在しない点である.この場合,非制限的用法の which は主節の内容全体を表わしてい 

△ The students were asked to listen to a number of difficult sentences read at natural speed during the first stage of the lesson. After that, they were questioned about the content of the sentences.

非常に単純な短いセンテンスが二つ並んでいると幼稚な感じがする。

◯ The students were asked to listen to a number of difficult sentences read at natural speed during the first stage of the lesson, following which they were questioned about sentence content.

△ His paper does not discuss how he performed the experiment.
(彼の論文では,実験をどうやって行なったかは論じられていない.)

論文調に堅くする。

◯ His paper does not discuss the method by which he performed the experiment.

△ The following results of this experiment were obtained :……
(この実験で次のような結果が出た.)

論文にしては弱々しい。

△ In this experiment, the following results were obtained.

まだ虚弱な雰囲気がある。

◯ We obtained the following results in this experiment :……
◯ This experiment yielded the following results :……
◯ The results of this experiment are as follows :……

能動態にすると、自信をもった,迫力のある表現になる。

△ It is thought that……
△ It may be considered that……

英語の学術論文に一切使わなくても差し支えない。

△ Over the period of the study it was observed that……
◯ We observed that……

ただし「was reported」は「主語から離れすぎ問題」さえなければ、受身のままでも使える。また、論文のアブストラクト(要約)だけは、特定の個人にかかわりのないように書く習慣があるため、受身が多くなる。

the received wisdom (権威あるものとして受け入れられた知識、一般に正しいと認められている説や論)

ややエレガントなところがあり ,とても英語らしい。タキシードを着たような感じ。

the accepted wisdom

もっと平凡。会社のグレーの制服を着ているような感じ。

  • especially と particularly はいつでも互いに交換できる
  • accordinglyは「ある状態に合わせて何かをする」場合に使い、consequentlyは「ある状態の当然の結果として,何かの状態となる」場合に使う
  • 原則として冒頭にコンマで区切った Therefore, を一切使わないこと
  • 英語論文などを書くとき,soは一切使わないこと
  • sinceとbecauseの堅さはちょうど論文にふさわしいが、いかにも「素朴」という感じ
  • becauseという意味をもつ as…… という言い方は科学論文には使わない方がよい.センテンスが曖昧になりかねない
  • therebyという言葉は語感として,学術論文にとてもふさわしい表現
  • henceという言葉も論文にとてもふさわしい

関連して読みたい本

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

『続 日本人の英語』より

続・日本人の英語 (岩波新書)

続・日本人の英語 (岩波新書)

前作から4ヶ月経ちましたが続きを読みました。慣れたのか前作のような衝撃は減りましたが、読んでよかった本です。

アメリカ人はthe Japanese、the Iraniansと他国民をひとまとめにするくせに、自分たちは一人一人別人という意識があるのでthe Americansとは言わず、Americansになる。

just a skosh という日本由来の外来語がある。

be going toとwillの使い分け。一応知っていたけれど再確認しました。

If I’m late, I’ll call you.

遅れたら連絡する

If I’ll be late, I’ll call you.

遅れることになったら連絡する

前作にもあった、所有格による数の意識の差について。やっぱり分かりやすいです。

He has a sore leg.

どちらの足か分からないが、足が一本痛いらしい。

He has the sore leg(s).

「あの足が痛い」って、どの足?聞いていないよ。

He has sore legs.

2本以上の足が痛いようだ。
人間なら両足、タコなら2〜8本の足が痛い。

His legs are sore.

足が全部痛いようだ。
人間なら両足、タコなら8本すべての足が痛い。

『心に届く英語』より

心にとどく英語 (岩波新書)

心にとどく英語 (岩波新書)

こちらも古く、1999年著ですが大いに有用でした。映画のセリフなどを例に挙げて、英語の表現が少し変わるだけでどのような違いがあるのかを解説しています。『ローマの休日』をもう一度見たくなりました。

前から予定していた未来に使う「be going to」と、今決めた未来に使う「will」

彼の本にはよく出てきますね。

I’m going to visit Kyoto this weekend.
.oO(前から今週末は京都に行こうと思っているよ。)

I’ll visit Kyoto this weekend.
.oO(今週末は京都に行こうと今決めたよ。)

我が家は will で言える状況がとっても多いですよ。先月も「今週末は京都に行かない?」と旦那に言われ、3日前に宿を取り、車で半日以上かけて京都に行ってきました。もう少し are going to の状況が多ければ心構えもできるってものですがね。

「away」には「人目を気にしない」という意味がある。
道端で「sleep away」、授業中に「talk away」、など。
「壊す/取り壊す」「やめる/取りやめる」くらいの違いを動詞に与える。

You shouldn’t use words like that in front of children.

今回使った言葉はひとつ(a word)だが、他にもあることを暗示している。
「使っ"たり“しないで」のようなもの。

share with + 信頼 = confide in

「hint」は気配やほのめかし。

I felt a hint of spring in the air this morning.
Our teacher spoke with hint a hint of irritation.

loveとcareの違い。

I thought you loved me!

愛情を失ったことへの批判

I thought you cared (about me)!

人間性への批判

後半は会話でのうまい切り返し方を紹介しています。英語に限った話ではないようなものが多いです。