私は今、育休復帰後どのように働いていけばよいのか悩んでいます。
現在の状況
- 今回の育休は2度目であり、最後の育休になるはず
- 育休前は上の子の育児のために時短勤務をしていた
- 自部署には女性が数名しかいない
- 自分より勤続年数が長い女性は高位役職者1名のみ(高所得すぎて立場が遠い)
- 自分より下の女性社員は数年おきに入れ替わっている
- 自部署で結婚、育休、時短勤務をしたのは自分のみで前例がない
- 1人目の妊娠前はサービス残業が月100〜200時間
- 残業してナンボの時代から妊娠による定時上がりが認められた
- 今は社風も変わり、同僚は20時〜21時に退社している模様
私の希望
- 2回も育休を取らせてもらったので、今後は会社にもっと貢献していきたい(実はあまりのプライベートの無さに妊娠判明前に転職を考えていたが、社風が変わったこともあり、もうその気はない)
- 自部署に女性のキャリアプランの選択肢を増やしたい(成立20年の会社なので、男性でもキャリアプランが描きにくいのではないか)
- 家族の時間は確保したい(そもそも時間や場所にこだわらず働きたくて今の職を選んでいる)
- 第一子が小学校に上がったら、家で働きたい(子供におかえりと言える働き方をしたい)
- となると独立?今の会社と在宅契約?
本書の紹介
以上の前提の上で、今回読んだ本がこちらです。
- 作者: 蛭田敬子
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2008/02/09
- メディア: 新書
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http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51461902.html
小飼さんのレビュー記事もあります。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51007973.html
読書レビュー
この本は経営者に向けた若者指南(モチベーションの与え方)の本ではありますが、上司(経営者)と部下(新人)のどちらの立場で読んでもいいと思います。特に10章には女性特有のキャリアについて書かれていて参考になりました。
約10年前に書かれた本ですが、若者特有の価値観(逃げる傾向)を認め、その上での対処方法が書かれています。思い起こせばちょうどその頃に私は新人社員でしたので、思い当たる節があります。
(p.34要約)自分らしく働くことを求める若者がいるが、自分らしさが最初からあると思うのが間違い。自分らしさは生きていく(働いていく)上で作られていく。
まさに若かりし頃の私です。キャリアウーマンを目指していたものの、先行きの見えない会社(実際に倒産しました)でやる意味の理解できない仕事をしていたため、理想とのギャップに苦しんでいました。当時の私はいい大学を出たこともあり頭でっかちで、「考えてから行動する」という選択をしたかったのですが、上からの指示は「まず行動してから考える」でした。今なら「行動ありき」は理にかなっていると思いますが、当時は毎日100件のテレアポと10件の飛び込み営業など、実を結ぶ保証のない仕事に疲れていました。
こういった若者への対応の仕方や声かけの例が本書に書かれています。
(p.63要約)新人が今している仕事の意味づけをしてあげること。将来のキャリアにどうつながるかを説明してあげること。
ええ。私も部長たちに丁寧に説明されました。部長たちはとても親身に時には厳しくしてくれて、退職した今でもお付き合いをさせてもらっています。それでも当時の私が仕事に納得できなかったのは、自分の未来を想像する以前に、会社の未来を想像できなかったからなのだと思います。
本書にはリクルートをする人事向けのアドバイスも書かれていますが(p.67など)、会社の魅力を伝えることのほかに、
(要約)今の会社を辞めても他で通じるスキルをこの会社で得られると社員に納得させること。
とあります。
今なら営業時代の仕事が今の開発の仕事に役立っていることを知っていますが(もっと営業を勉強しておけば良かった)、当時このことを理解していれば、あんなに憔悴することはなかったのかな、と思います。
さて、現在は30歳も超えすでに自分の仕事の意味や、将来の転職に使える技術の習得について理解しています。上述の段階は超えました(本書で後述されますが、超えていないと特に女性はヤバいです)。ただ転職でリセットしているので(さらに2回の育休でブランクもあるので)、自身の年齢のわりにキャリアや考え方が浅いことが問題です。
キャリアアップについては本書に分かりやすい図がありました。
(p.71要約)
①いわれたことはできる
②いわれなくてもできる
③期待以上の仕事ができる(役職一歩手前)
④人に教えることができる(主任相当)
⑤組織をまとめることができる(係長、部長相当)
⑥新しくビジネスを作り出すことができる(分社化など)
⑦そのビジネスを回すシステム(組織体系など)を作り出すことができる
この階段で、自分は今どこにいて、どこまで登りたいか、登るために必要なステップは何かを考えるということです。
(要約)
新人はまず②までは辛くても我慢してやろう。
おいおい居場所ができれば楽になる。
若いうちに④⑤まで行かないと、中年転職で詰む。
私は上司たちの意見を合わせると、今は③だろうと認識しています。④に上がるためには、時短勤務というハンデがあっても部下を持てるほどの実力をつけなければならないことになります(時短勤務者は納期の緩い1人作業がメインで部下を持たない)。
この階段はサラリーマン向けですが、個人事業主のような仕事に向けた階段も例示されていました。また、階段を登らないキャリアもあります。
(p.76要約)階段の途中で留まるなら、その段のプロフェッショナルを目指す。
たしかに自部署にもマネージャー志向の人と、プロフェッショナル志向の人がいます。私が希望している時短勤務や在宅勤務で目指しやすいのはプロフェッショナルですが、プロフェッショナルになるにはある程度の技量やセンス、勉強時間が必要とあって厳しい…。マネージャーの方が現実的な昇給路線に思えます。
(p.??要約)階段を登れずプロフェッショナルにもなれない人でも、ムードメーカーなど会社のプラスになる人は需要があることも。
なんかこれ、今の会社に入社した頃、上から言われました。女性が入るだけで場が和んでよいとか、君は勤勉だから学んだことをシェアして勉強ムードを上げてほしいとか、いろいろ。そういうポジションも楽で悪くはないのですが、所帯を持った今はもっと昇給したいので、このポジションだけに頼ることはしたくありません。しかもポジションを維持すること自体が加齢とともに難しくなるでしょう。
10章にもありましたが、ホンコレです。我が社も規模拡大に伴い、若くて愛嬌のある女の子が増えました(幸い?自部署には女性ががほとんど入ってこないのですが…笑)。
(要約)
女性は若いこと自体がスキルである。
そのスキルがあるうちに、年を取っても通じる別のスキルを身につける必要がある。
私はもう30オーバー。本書では「手遅れ」の事例として、若い時のままスキルを得ずに30代になってしまった人が挙げられていました(「何かを始めるのに遅すぎることはない」という私のポリシーは間違ってはいないと思いますし、この部分は新人社員向けに多少脅した書き方をされているようです)。
この著者さんは実は女性なのですが、メールや手紙で転職相談に乗ることもあるようで、今の私は好感を持てました。もしこの記事で不快に思われる方がいましたら、私の紹介の仕方が悪かったのだと思います。
結論
- 子供を育てる時間を確保しつつ、階段の④を目指したい
- そのために必要なことを考え、上司にも相談しよう
2番は以前から決めていましたが、1番はこの本を読んで決めました。
以下おまけ
他に本書の中で気になった主張を列挙します。
(p.64要約)これからの時代は学び続けなければ仕事がなくなる。「勉強しなさい(そしてキャリアアップしなさい」は先輩からの愛情表現。
会社の先輩が、「部下の新人が勉強をしてくれない。自分たちとやる気が違いすぎる」とボヤいていましたな…。
(p.118要約)部下の嘘は都度指摘するよりも容認しておき、何かあった時に「君の嘘は知ってた」と伝えることで、上司を騙せないことを悟らせる方がいい。
育児の本(TODO参考書籍失念)でも、「母親は騙せない」と子どもに悟らせるといい、と書いてあるものがありました。「今日はなんか元気ないね」などと子供の小さな変化にも気づいて示してあげることで、親に気にされている安心感、騙せないという絶対感を与えるといったような内容でした。後者は、親不在時の友達の連れ込み、そこから生じる犯罪(タバコなど)を防止するとのことです。
(p.150要約)私生活が充実していれば、会社にばかり100%求めない。私生活が充実していないと会社に全てを求め、不満点があると退職する。
本書は「いかに社員を退職させないか」がテーマでしたね。